「雨漏りしているので、屋上の防水を見てほしい」
このご相談を受けて屋上に上がると、防水層は生きているということがよくあります。そして外壁を見ていくと、原因がそちらにあった、という流れです。
雨漏り=屋上、というのは自然な発想です。上から降ってくるものですから。ただ実際には、外壁側から入っていることが珍しくありません。
なぜ場所が分かりにくいのか
水は、入った場所の真下に落ちてくれるとは限らないからです。
躯体の内側に入った水は、コンクリートの継ぎ目や配管、断熱材の裏を伝って横にも下にも移動します。 その結果、5階の窓から入った水が4階の天井に出る、ということが起きます。
染みが出ている真上を直しても止まらないのは、これが理由です。
外壁から入る3つの経路
1. サッシまわり
窓やドアの枠と、壁の取り合い部分です。ここはシーリングで塞いでありますが、窓は建物の中で最も動きの大きい部位です。日射で伸び縮みし、風圧を受け、開け閉めの振動も加わります。
そのぶんシーリングに負担がかかり、他の場所より早く切れます。特定の窓の近くだけ染みが出る場合は、まずここを疑います。
2. 設備の貫通部
換気口、エアコンの配管、給排気のフード。壁に穴を開けている以上、そこは必ず弱点になります。
穴とフードの隙間はシーリングで塞いでありますが、紫外線で痩せて切れると、そのまま壁の内部が露出します。
実際にこういう現場がありました。大阪の8階建てビルで、5階の換気口まわりから漏水していました。見てみるとシーリングが切れていて、しかも2階から8階まで同じように傷んでいました。詳しくはこの記事に費用と日数まで書いています。
3. ひび割れと打ち継ぎ部
外壁のひび割れそのものが水の通り道になります。特に打ち継ぎ部——工事の区切りでできる横一本の線——は、もともと材料の境目なので水が入りやすい場所です。
ひび割れは幅0.3mmが補修を検討する目安ですが、水が入るかどうかは幅だけでは決まりません。 判断の材料はひび割れの記事にまとめています。
屋上か外壁か、見分ける手がかり
現地を見ないと確定はできませんが、ご自身で観察できることで見当はつきます。
| 起きていること | 疑うところ |
|---|---|
| 最上階だけに出る | 屋上の防水、笠木まわり |
| 特定の階、特定の部屋だけに出る | その階の外壁側 |
| 風の強い雨のときだけ出る | 外壁側(横殴りの雨で入る) |
| 静かな雨でも出る | 屋上、または上向きの面 |
| 雨が止んでしばらくしてから出る | 内部を伝っている。入口は離れた場所の可能性 |
特に効くのが「風の強い雨のときだけか」です。
屋上から入る水は、風が無くても重力で入ります。一方、外壁の縦の面に水が当たるのは、雨が横から吹き付けたときです。「台風のときだけ染みた」「南風の日に出た」という証言は、外壁側を強く示唆します。
なお、屋上と外壁の境目にあたる笠木(パラペットの上に載っている金属のふた)も要注意です。ここの継ぎ目やビス穴から入ると、屋上の防水を全部やり直しても止まりません。
調査と工事で業者が分かれると、二度手間になります
雨漏りで厄介なのは、原因を突き止める作業と、直す作業が別々に発注されがちなことです。
足場を組む前提だと、こうなります。
- 調査のために足場を組む(または高所作業車を手配する)
- 原因を特定する
- 見積りを出す
- 工事のために、もう一度足場を組む
足場代を2回払うことになりかねません。
ロープアクセスの場合、降りていって見て、その場で直せます。 原因の箇所が分かった時点で、シーリングの打ち替えでもひび割れの補修でも、そのまま作業に入れます。
先ほどの大阪の現場も、足場を組めば約30万円のところ10万円、作業は2名・半日で終わっています。
相談する前に、これだけ控えておいてください
原因の特定は、情報が多いほど早くなります。次の3つをメモしておくだけで、判断の精度が変わります。
- いつ出たか(日付。できれば時間帯)
- どんな雨だったか(風は強かったか、どの方角から吹いていたか)
- どこに出たか(部屋、天井か壁か、窓からの距離)
そして染みの写真を、日付が分かる形で残してください。 2回目、3回目と記録が溜まると、「南風のときだけ」といった規則性が見えてきます。これは現地で1時間見て分かることではありません。住んでいる方、管理している方にしか集められない情報です。
まず状況を確かめるところから
「どこから入っているか分からない」という段階のご相談で構いません。
橙會は足場を組まずに降りられるので、調査だけを先に行い、その結果を見てから工法を決めるという進め方ができます。調査のためだけに足場を組む必要はありません。
現地確認とお見積りは無料です。染みの写真と、建物の外観が分かる写真を送っていただければ、外壁側か屋上側か、おおよその見当はその場でお答えできます。