建物の外側で、いちばん先に寿命が来るのはシーリングです。コーキングとも呼ばれる、あのゴム状の充填材です。
コンクリートやタイルが50年もつあいだに、シーリングは7〜10年で寿命を迎えます。 建物の寿命に対して、5回から7回は打ち替える計算になります。
どこに入っているか
意識して見たことがない方も多いのですが、建物には想像以上に使われています。
- 窓・サッシのまわり(枠と壁の隙間)
- 外壁の目地(パネルとパネルのつなぎ目)
- 打ち継ぎ部(工事の区切りの線)
- 換気口・設備の取り合い(壁に開けた穴のまわり)
- 笠木の下、ベランダの立ち上がり
共通しているのは、**すべて「壁に開けた穴」か「材料と材料のつなぎ目」**だということです。つまり、もともと建物の弱点だった場所を、シーリングで塞いでいます。
だからここが切れると、まっすぐ内部に水が入ります。
寿命は7〜10年。ただし面によって差が出ます
一般的な目安は7〜10年ですが、同じ建物でも場所によって進み方が変わります。
早く傷む条件
- 日射が強く当たる面 … 紫外線と熱で、シーリング自体が硬くなり痩せていきます
- 雨がかりが多い場所 … 水と乾燥を繰り返す場所
- 動きの大きい部位 … 窓まわりなど、伸び縮みを繰り返す場所
- 目地が細い、浅い … 材料の量が少ないぶん、限界が早く来ます
同じ建物の中でも、面によって数年の差が出ます。 建物全体で一斉に切れるわけではありません。
進み方には順番があります
いきなり切れるのではなく、段階を踏みます。ご自身で見るときは、この順番で見てください。
① つやが消える・白っぽくなる
表面が粉をふいたようになります。まだ機能はしています。
② 硬くなる
指で押しても沈まない、弾力が無い状態。ゴムとしての役目が終わりかけています。
③ 痩せる
目地の部分がへこんで見えます。材料が縮んでいる状態です。ここから先は早いです。
④ ひび割れる
シーリング自体に細かい割れが入ります。
⑤ 切れる・剥がれる
壁との境目に隙間が見える状態。ここまで来ると、雨のたびに水が入っています。
③の「痩せる」が見えたら、その面はもう打ち替えの時期だと考えてください。
切れると、建物の中で何が起きるか
外から見えないところで進みます。
- 隙間から雨水が入る
- 壁の内側を伝って下へ回る
- 内装に染みが出る、断熱材が濡れる
- 鉄筋まで届けば、錆びて膨らみ、コンクリートを内側から押し割る
厄介なのは、水が入った場所と染みが出る場所が違うことです。 5階の窓から入った水が、壁の内側を伝って4階の天井に出ることは珍しくありません。「染みが出ている真上」を直しても止まらないのは、これが理由です。
1か所切れていたら、他も切れています
これは実際の現場の話です。
大阪の8階建てビルで、5階の換気口まわりから漏水しているという相談を受けました。現地で見ると、換気口まわりのシーリングが切れていました。
そこで2階から8階まで同じ高さの換気口をすべて確認したところ、同じように傷んでいました。
当たり前といえば当たり前で、同じ建物の同じ部位は、同じ時期に施工され、同じ年数ぶんの紫外線を浴びています。 1か所だけ先に切れる理由がありません。
このときは5階だけでなく、2階から8階までまとめて打ち替えました。詳しくはこの記事に費用と日数まで書いています。
漏水している1か所だけ直しても、翌年また別の階から出ます。 同じ部位は、まとめて見るのが結局いちばん安く済みます。
「打ち替え」と「増し打ち」は別のものです
見積書に出てくる言葉で、金額も効果も違います。
| 内容 | 向いている場合 | |
|---|---|---|
| 打ち替え | 古いシーリングを撤去して、新しく入れ直す | 基本はこちら。劣化しているなら打ち替え |
| 増し打ち | 既存の上から重ねて充填する | 撤去すると躯体を傷める場所など、条件が限られる |
古いシーリングが痩せて硬くなっている状態で上から重ねても、下の層が動けば一緒に切れます。 安く見えても、数年でやり直しになれば高くつきます。
見積りに「増し打ち」と書かれていたら、なぜ打ち替えではないのかを確認してください。 理由を説明できる業者なら問題ありません。
足場を組まずにできる工事の代表例です
シーリングの打ち替えは、無足場工法が最も向いている工事のひとつです。理由は3つあります。
- 作業する範囲が線状で、面ではない … 窓まわりや目地に沿って進むだけ
- 必要な箇所だけでよい … 傷んでいる面だけ打ち替えられる
- 重い資材を運ばない … 道具と材料を腰に下げて降りられる
先ほどの大阪の現場では、足場を組む場合の概算が約30万円、ロープアクセスで実施して10万円でした。作業は2名・半日で終わっています。
「シーリングの打ち替えだけのために建物全体へ足場を組む」となると、費用の大半が足場代に消えます。ここが無足場の出番です。
見るなら10年目。日の当たる面から
いつ見ればいいかというと、竣工または前回の改修から10年が最初の目安です。
そのとき、まず日射の強い面から見てください。同じ建物でも進みが早い面があります。そこが③の「痩せる」まで来ていれば、他の面もそう遠くありません。
判断に迷ったら写真を送ってください
シーリングの状態は、写真でもかなり判断できます。
- 目地の部分に寄って撮った1枚(へこみ、ひび、隙間が分かるように)
- 建物全体が入る遠景1枚(どの面か分かるように)
この2枚があれば、「打ち替えの時期か」「まだ様子を見てよいか」の見当はその場でお答えできます。
現地確認とお見積りは無料です。 足場を組まずに直せる可能性が高い工事なので、まず状態を知るところから始めてください。